SCSIDNIKUFESIN

5 Apr, 2013

▼今年はバズ・フェイトンに近づくことを目標にしよう。と思ってリッキー・リー・ジョーンズのCDを実家から持ち帰ってきたけど、もう今年も4分の1終わってたという。しかもどの曲で参加してるのか分からないというか殆どギターパートがない。いい加減FULL MOONのCDの買おうと思いながら曲作り再開したりしてます。
▼平日の昼食を安価に切り詰めるのはもはや趣味。カップ焼きそば・惣菜一品・饅頭≒0.3Kという組み合わせが固定化しかかっていたところで「アボカド買ってそのまま食べればいいじゃん」ということに気付いて実践し、最近はタレつきまたは味付き(枝豆入りなど)の豆腐を狙うことを覚えました。見切り品ならなおよし。職場の机で食べても好奇の目で見てくる人が近くにいないのは助かっているけど、DIYお得セットが日に日にグレードアップしていく様を、レジ打ちのおばちゃんに確実に見届けられていることは知ってます。
▼SNSを利用していて良いなと思う点のひとつが、「忘れたくないミュージシャンの命日がどこからともなく知らされること」です。生きている人の誕生日すらあんまり覚えられないもので。しかし熱心に情報収集しなくなってるうちにマーク・リアリもGOTTHARDのヴォーカルも亡くなってて、寂しいものです…。いっぽう、レミー(MOTORHEAD)がまだまだピンピンしてるのは何か驚く。
▼レビューの文量が膨大になってしまったので、外食記録まとめはまた次に。CDよりそっちのほうが充実した年間ベストを考えられそうな近頃。
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本日のレビュー:YNGWIE MALMSTEEN「FACING THE ANIMAL」

随分前にも取り上げた気がしますが、HM/HR界においてボンゾと双璧をなす元祖フルパワードラマー、コージー・パウエル(ex.JEFF BECK GROUP、RAINBOW、BLACK SABBATH、MSG、etc.)の没後15年ということで、彼の遺作であるこのアルバムを改めて。(※リリース年月でいくとブライアン・メイの98年ソロ作「ANOTHER WORLD」が最後になっていますが、そちらは3~4年かかって制作されたアルバムであり、コージー参加曲は亡くなるずっと前に録られていたとのこと。→ソース
90年代のメタルといえば、すぐにグランジになびかなかったミュージシャンもあるとき突然「今度のアルバムでは『怒り』を表現したんだ」と口にしてヘヴィな作風に取り組むことが多くありました。このアルバムがそういう趣旨だったかどうかは、当時のインタビューの内容を覚えていませんが、ここからビシビシ感じられる彼の怒りは本物です。「SEVENTH SIGN」~「MAGNUM OPUS」と、彼のキャリア中初めて2作連続でシンガーを務めたマイク・ヴェセーラに、ケバケバな嫁・アンバーをリアルに寝取られるという冗談みたいな事態が本当に起きた後で制作されたこの作品では、裏切り者へのディスがテーマの曲があったり、当て付けの如く新しい彼女に捧げた曲が入っていたり(ちなみに前作にはアンバーに捧ぐインスト曲が入っていたという…)しつつ、何より楽曲のアグレッシヴさ、重心の低さが過去最強。
シャッフルの曲なのにまるで無視して高速16分ユニゾンをかましてくる冒頭曲イントロの異様な緊張感。コージーのバスドラ激打と相俟って、コブコブの岩肌をキャタピラでかっ進むようなノリが新機軸。続く2曲目のタイトルトラックでACCEPTばりのドッスリしたヘヴィネスをもってきて、こりゃ降参して聴き入るしかないなと早くも捻じ伏せられる感あり。その後も過去作とまったく被らない方向で多彩なバラエティを見せ、改めてイングヴェイの感性の広さ、間違いなく仕上げる精度の高さを確認。ワンパターンな速弾きマシンだという揶揄を目にすることも多いけどとんでもない。大変耳のいい人です。
常時ギョリギョリとナチュラルオーバードライブがかかったようなハイトーンで攻めるマッツ・レヴィンのヴォーカルは、北欧人シンガーに期待するものとは違いながらも、このアルバムの攻撃性に力強く加勢してくれています。気に入った人は元CANDLEMASS組と1枚だけのアルバムを残したABSTRACT ALGEBRAを聴いてみてください。ベースは例によってインギー本人とバリー・ダナウェイが数曲ずつ担当。マルセル・ヤコブじゃあるまいしベースだけで存在を主張してくることはなし。キーボードはイェンス・ヨハンソンの後をレギュラーで埋め続けるマッツ・オラウソン。今作ではあんまりリードパートを与えられてませんが、バッキングでなかなかきめ細かく表情を変えていて、全体の多彩な印象に重要な一役。
そして御大コージー・パウエル。グラハム・ボネットとALCATRAZをやり、ジョー・リン・ターナーを「ソウルメイト」と呼んで自らのバンドに引き入れ(そして仲違い)、ロニーともAEROSMITHのトリビュートアルバムで共演を果たすなど、「リッチー(・ブラックモア)の元共演者食い」をライフワークにしているイングヴェイが、ここへきて遂にコージーのアルバム1枚フル参加という夢を掴むわけですが、まさかこれが遺作になってしまうとは思いもよらなかったことでしょう。体よくコンプとリヴァーブで仕上げられたモダンなサウンドプロダクションの中にあってもそれとわかる全手足の激烈なフルストロークは、重々しくもグイグイ前に出るこのアルバムの作風とまさに合致し、良さを更に高めています。このアルバムがあることはインギーの人生の中でも宝だろうなーと察します。
全13曲(うち1曲は短いインスト)とフルボリュームながら、ビシーッと張った線がずっと緩まないこの感じは、MR. BIGの復活作「WHAT IF」にも通じるところ。こんなに鬼みたいだったっけと息苦しくなりそうにもなりながら、それよりも畳み掛けるグイ押しが勝って快く聴き通せます。「メロスピ」「ネオクラ」の祖はこんなにもロック。
この映像が何なのかは謎。
叩いてるのは違う人ですが98年のライブ。マッツ・レヴィン歌えてますね~。
ところでこのアルバムのジャケ、シンプルにインギーの正面カットのみというデザインですが、このタイトル(意訳=「ケダモノとご対面」)でこのジャケとは、ケダモノはオマエか!と心中で突っ込まずにはいられない。
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