夏といえば思い出すこのBELLADONNAの1st。無垢な純正メタラーだった高校時代は、ジョーイ時代のANTHRAX「クリーンボイス+スラッシュサウンド」をひたすらかっこいいーと思ってそちらを好んでいました。脱退後も彼が何をやっているのか凄く気にかけていて、何なら日本にあなたと組みたいギタリストがいるといって連絡を取りたいくらいでした。で、ある時、何を探すでもなくタワーレコードの棚を見回しているときにこの盤を発見。BURRN!でもまだそんな情報はなく、なんだこれー!といって買って帰ってアホのように聴き込んだ思い出の1枚です。もともとは、GILLAN~MAMMOTHのジョン・マッコイ(b.)、MOUNTAINの80年代のアルバムで作曲に関わったことがあるアル・ロマーノ(g.)を含むバンドとしてスタートしたものの、その二人はレイ・ギラン(R.I.P.)を擁するSUN RED SUN結成に動いてしまい、ジョーイとのセッションで作られた曲もSUN RED SUNに持って行ってしまいます(そっちのアルバムにジョーイのクレジットがある)。で若いメンバーを迎えて仕切り直すものの、この1stの大半の曲を共作しているポール・クルックは、事もあろうにダン・スピッツが抜けたあとのANTHRAXにリードギタリストとして引き抜かれてしまいます。結局ポールも作曲に関わっただけで、別の人でようやくレコーディングされて95年にMAUSOLEUMからリリース。買うのは恐い感じのB級正統派バンドをいっぱい出していたイメージのレーベルですが今も存続しているんでしょうか。
内容は、ANTHRAX脱退前の2枚(「STATE OF EUPHORIA」~「PERSISTENCE OF TIME」)のメタリックな作風をリセットせずにPANTERA・ALICE IN CHAINS等々に感化されたらこうなったかもという感じの躍動的な90年代型メタルで、意外と本家の「SOUND OF WHITE NOISE」とか、FIGHTの1st、TESTAMENTの「LOW」あたりともそう遠くない雰囲気があります。何せ声がクリーンなので、リフが重くてもメロディアスさが際立ってあまりドヨドヨせず、今となってはちょっと他にない感じ。メロディ導入のしかたもかなり変わっていて、リフありきの楽曲を歌ものに変えるジョーイの強引なセンス(ときに微妙!)が冴えてます。ソリッドだがトリガーとのミックスの配分がトリガー寄りすぎてどうも小さくまとまるドラム、アンプシミュレータで録ったような引っ込んだギターサウンドがしかし、全体の印象をけっこう下げていて、本家と比べて変なところで見劣りしてしまっているのが残念。同じ内容でもっと当時イケイケのエンジニアが録って、ついでにジョン・ブッシュが歌ってたりすれば、何の疑いもなく新生ANTHRAXの傑作になったはずなんですが。
冒頭を飾るキラーな1曲。