看板シンガーだったジョーイ・ベラドナ脱退後、おそらくELEKTRA移籍にともなう契約消化で古巣ISLANDからリリースされた(ANTHRAXはボブ・マーリーやUSとレーベルメイトなんですね)ジョーイ時代のライブアルバムです。91年のツアーからの音源と、92年にカレッジラジオ局WSOUの企画で催されたとおぼしきスタジオライブでの音源を収めた計12曲。契約消化ならベスト盤って話もあがったでしょうが、その寸前にシングルB面や非シリアスな新録音源を集めた企画盤「ATTACK OF THE KILLER B'S」が出ていたからこうなったのでしょう。ツアー音源の演奏はとりあえず全曲テンポが速く、かなりラフですが「お直し」の類もまず間違いなくやっておらず、当時のありのままを楽しむにはいい内容です。"Indians"のモッシュパートあたまでベースの音が出なくなるトラブルもそのまま。スタジオライブはなかなか安定していて、通常のアルバムでバシッと決まってかっこよかった瞬間がほぼすべて再現されています。しかしこっちも"I Am The Law"の途中からずっとトラブルでダンのギターが無音(結局次の曲から回復)。一貫して、ジョーイのヴォーカルは基本的にシャープ気味なものの音程感の軸をつかみ損なうことなく、歌える人なんだなーというのが再確認されます。まあ、煽りはジョン・ブッシュのほうがかっこいいですがね...。
彼らのライブの特徴で、部分的にリズムパターンやキメを変えてきていたりするので、まだANTHRAXを聴いたことがない人がベスト盤代わりにこれを初めて買うというのはおすすめしません。全作品まじめに買うのが一番ですが、きびしい人はISLAND時代の名曲を完璧に押さえたリマスター2枚組「ANTHOLOGY: NO HIT WONDERS 1985-1991」だけでも買ってください。