SCSIDNIKUFESIN

14 Dec, 2010

▼BSデジタルはときどき「荒野の七人」とか「ジョーズ」とかのド定番を21時くらいから放送してくれることがあって、昨日は「サイコ」(ヒッチコックの)。とりあえず見ました。
映画への関心はひたすら薄い私ですが、「ツイン・ピークス」を全部見たときに、これがリアルタイムで世に受け入れられていたときに放っていた衝撃が、音楽の世界も無縁じゃなかったんだなと思って(その時期のPVやら流行る曲の雰囲気そのものやらと相当リンクしていたので)、「後々の『ベタ』はこの作品が作った」と見なされるような古典は、都合よくテレビでやっていてタイミングが許せば見ておくように最近してみています。
古い映像作品はもっぱら「登場人物がこういうアクションを起こすときはカクカクシカジカについての示唆」という類型がまだ少なかった頃に、示唆的な表現というものをどうやっていたのかなというのが興味深く思われてそういうところに注意して見ます。結果、傑作といわれるものだからか知らないが、だいたいは上手いことやってるように見えますけども。あるいは「世間の人々がなんとなくその存在を感じていたことを最初に体現した人、または本当に唐突に新しいことを思いついてしまった人が大抵あとあと一番重要」という自然の摂理ゆえにオリジナルは良くて当然なだけかも知れません。
▼ようやく年賀状のデザイン作成に着手。マージンの美学とフォントパワーに頼って、できるだけ途中でプリンタのインクを交換しなくてよさそうな図柄を作ろうとしてしまう貧乏性に自分で泣ける。
METAL CHURCH「THE DARK」

本日のレビュー:METAL CHURCH「THE DARK」

おもむろにMETAL CHURCH。こちらは86年リリースの2ndです。1stはテリー・デイト、こっちはマーク・ドッドソンがエンジニアだったんですね。リリースはELEKTRA。アメリカ産正統派メタルの代表格だったといわれていますが、この時代のアメリカの「正統派」には若干の注意が必要。高校時代にはじめて聴いたときは、勇壮なメロディはどこにもないし、スラッシュメタルというほど過激ではないけど何やらダークではあるし、どこを聴けばいいんだろうと思っていたアルバムでした。これがリフの押し引きとあくまで体感的なフックが主体の、特定のラインを覚えるのではなく音全体を浴びて体験する、いわゆる「USメタル」であると合点がいったのは随分と後の話です。イアン・ギランのシャウトを聴いて開眼したというデイヴィッド・ウェインのワイルドなハイトーンも、記憶に残るメロディを探したりせず衝撃波のような類のものとして楽しめばOK。ロブ・ハルフォードのマッドさとブルース・ディッキンソンの暴れ感を同時に体現する逸材でした(R.I.P.)。
デビュー作はまだ先人の影がわかりやすくチラつく状態で、「俺らも自分でメタルを演奏できるぞ~」という喜びとテンションの高さがみなぎっているような感じだったのが、ここではもう少し大人になって、スラッシュ/パワーメタルの類型を能動的に乗りこなす姿勢が見えてきています。かつ小難しくなったり煮詰まったりしていなくて、バンドとして凄く良い状態。スコアとしてのクオリティは91年の「THE HUMAN FACTOR」が白眉でしょうが、このアルバムも諸々ひっくるめて最高傑作と言いたくなる1枚です。
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